子猫がふみふみしたり噛む理由は?猫の習性と行動の意味まとめ

子猫がふみふみしたり噛む理由は?猫の習性と行動の意味まとめ

監修:もみの木動物病院・獣医師 村田香織先生

狭いところに隠れてみたり、一生懸命高いところに登ってみたり、子ねこは元気いっぱい!そうかと思えば、柔らかいものをふみふみ、飼い主さんにすりすり、思わず「キュン」とする仕草を見せたりもします。子ねこの行動は見ていて飽きませんが、「どんな意味があるのかな?」と不思議でもありますよね。ここでは子ねこがよくする仕草の意味や習性と、困った行動のしつけ方法をご紹介します。

ねこという動物と
「自然な行動をする自由」

猫の祖先は中東のリビアヤマネコで、私たちと暮らしているイエネコ(ネコ科の家畜種であるネコ)の次のような行動は、祖先のリビアヤマネコとほとんど変わらないと言われています。

  • 待ち伏せて狩りをしたり、隠れたりする(捕食本能が強い)
  • 高い場所へ登る(上下運動をする)
  • 自分のスペースに他の猫が入るのを嫌がる(縄張り意識が強い)

野生動物は起きている時間の80%を狩りに費やしています。猫はまだ野生の性質を強く残しているため、「獲物を見つけて捕まえて食べる」のは猫の自然な行動です。猫は根っからのハンターなので、獲物を捕まえて食べるということがない室内飼いでも、猫らしく過ごせるような工夫をしてあげたいものです。
実際に獲物を捕まえなくても、動くものを見たり、追いかけたりといった、獲物を捕まえるような動きをすると、猫は幸せな気分になると言われています。例えば、飼い主さんがおもちゃで十分に遊んであげる、同居ペットと追いかけっこをするなど、「動く刺激」を与えてあげましょう。窓から外の様子が見られるようにしておくのも、外から刺激を受けられるため、有効です。

こんなにある!
猫の主な習性や行動

猫には主に8つの大きな特徴があります。

  • ふみふみする
  • 甘噛みする
  • すりすりする
  • 高いところに登る
  • 狭いところに入る
  • 夜に騒ぐ
  • 寝ている時間が長い
  • ひっかく

1つ1つ、猫の習性や行動の意味、困った行動をした時のしつけ方も見ていきましょう。

甘えたい!
毛布などをふみふみ

生まれたばかりの子ねこは、お母さん猫のお乳の出をよくするために、前足でふみふみ揉みながら飲みます。毛布などあたたかくて柔らかいものに触れると、その時の感触や幸せな気持ちを思い出して、ふみふみする猫が多いようです。時には飼い主さんのお腹でふみふみすることも。赤ちゃんに戻って甘えたい気持ちの表れなので、思う存分甘えさせてあげてくださいね。

噛み癖防止対策方法!
子ねこの甘噛み

子ねこが甘噛みする理由はさまざまですが、室内で1頭飼いしていると、ほぼ間違いなく飼い主さんを噛む問題が起きると言われています。これは、猫が動くものを追って捕まえる「根っからのハンター」であるがゆえの習性です。特に1頭で室内で飼われている猫の場合、家の中では野生と違って「動く刺激」である獲物や兄弟がおらず、「動く刺激」が飼い主さんだけとなってしまうので、獲物や兄弟に見立てて噛んでしまうのです。噛み癖がつかないようにするには、子ねこのうちから遊び方に注意することが大切です。

噛まれた時は、遊んでいても中断して無視をするのが原則です。そうすると噛むともう遊んでもらえなくなるのだとだんだん覚え、噛むことをしなくなってきます。また、甘噛み防止策として次のことも有効です。

  • 身体のパーツでなく、おもちゃで遊ぶ

    飼い主さんの指や足などの身体のパーツを使って遊んでしまうと、それが子ねこの行動として定着してしまい、「飼い主さん=噛む対象」と認識してしまう原因になってしまいます。このため、子ねことはおもちゃを使って遊んであげましょう。それでも子ねこが手足を噛みに来るようであれば、子ねこと距離を取ることができるように柄の長いものを選ぶとよいでしょう。猫のおもちゃの好みは様々ですが、紐の先にネズミや小鳥サイズのおもちゃが付いたものを好む場合が多いようです。

  • 1日2〜3回15分間程度、遊ぶ習慣をつける

    野生では、猫は小さな獲物を頻繁に捕まえています。このため、遊びも短時間で頻繁に遊ぶことを好みます。飼い主さんが遊ぼうとしたときに消極的な子もいますが、空腹時や薄暗いとき(猫の獲物であるネズミが活動するのが夜であるため)に誘うと乗ってくることがあります。

    「しつけのためだから」と叩くような体罰は一種の暴力であり、動物は体罰を受けることにより身体的だけではなく精神的な苦痛をも感じます。しつけには正しい行動を導き、褒めることによってその行動の定着をはかる手法が有効です。

顔をすりすりするのは
マーキングやおねだり行動

猫の頬や顎にはニオイを出す臭腺があります。柱などこすりつけやすい場所に顔をすりすりすることで、ニオイをつけてマーキングをします。飼い主さんにすりすりするのも、「これは自分のものだよ!」という主張。外出から帰ってきた時やお風呂上がりで、自分のニオイがなくなっていると、すりすりします。
猫は自分のニオイに囲まれると安心するので、好きなだけさせてあげましょう。他にも「遊んで!」「ご飯ちょうだい」など、おねだりや甘えていることもありますよ。

登るの大好き!
高い場所は安心スペース

猫は高いところが大好き。冷蔵庫の上やカーテンレールなどによく登ろうとします。高い場所は敵に襲われにくく周りがよく見えるため、本能的に安心できるからです。
部屋に高いところが無い場合は、キャットタワーを置くのがおすすめ。高さのある遊び場になるだけではなく、リラックススペースにもなるので、喜んで利用してくれるでしょう。ただ、登ってはみたものの降りられない!ということもたまにあります。子ねこの場合は特に注意して見守るようにしましょう。

入らずにはいられにゃい!
狭いところも大好き♪

猫は昔、敵から身を守るため穴ぐらに隠れていました。そのなごりで狭いところを安全な場所だと感じます。来客などで不安になりそうな時のために、慣れ親しんだキャリーバックを人目につかない場所においてあげるなど、すぐに隠れられる場所をいくつか用意してあげたいですね。入ってほしくない危険な場所は、ものを置くなど対策を。
また、狩猟本能が刺激されて、小動物が隠れているかも?と狭いところに入る場合もあります。そんな時は、トンネル型のおもちゃなどで遊んであげるのがよいでしょう。

夜に大騒ぎするのは
夜行性だから

猫は夜行性の動物です。狩りをしていたのもこの時間なので、夜に目が冴え、騒がしくしてしまうのは仕方のないこと。気が済むまで走らせてあげましょう。猫は暗くてもちゃんと見えるので、照明をつける必要はありません。騒音が気になる時は、防音シートを敷く、音の出るおもちゃはしまうなどの対策を。
一緒に暮らすことで、だんだん人間の生活リズムになっていくこともあります。寝る前にたっぷり遊んであげると、満足して寝やすくなりますよ。

寝る時間が長い!
子ねこは20時間以上も

猫は肉食動物なので、いつでも狩りで充分な力を出せるように、長い時間眠り、体力を温存します。成猫で平均14時間ほど。寝ている間に成長ホルモンが分泌されるため、ぐんぐん育つ子ねこの時期はさらに長く、20時間以上寝ています。猫ならぬ「寝子」と呼ばれることも。寝ている時は、邪魔せずたっぷりと寝かしてあげましょう。

ひっかくのはストレス?
おもちゃで楽しく発散!

子ねこがひっかくときの気持ちはさまざまですが、室内飼いの場合は刺激不足でストレスがたまっていることも。一緒にたっぷり遊んであげることで、子ねこのストレスを発散できて、攻撃性も抑えられます。紙のボールなどひっかくおもちゃを使って遊んであげるのも良いですね。ただし、猫は前足をよく使うので偶然爪が当たってしまうこともしばしばあります。こまめな爪切りで傷を最小限に抑える対策も忘れないようにしましょう。

上級者編:猫のニーズに
合った食事の与え方のヒント

野生の猫は、毎日小さな獲物を追いかけ、捕まえて食べています。このため、室内飼いでよくある「置き餌」のように、いつも同じ場所にどさっとフードが入れられているお皿が置かれているのであれば、猫にとって「獲物を探し、見つけて捕まえる」という刺激が足りないとも言えます。室内飼いでもフードの与え方を工夫することによって、「獲物を探し、見つけて捕まえて食べる」という、猫が本来持っているニーズを満たす手助けをすることが可能です。

<おすすめの与え方>

  • 複数の場所に少量ずつフードを置いてみましょう

    室内でも猫が食べ物を「探して見つけて食べる」ことができます。食べ物を探すことは猫にとって運動になります。歳をとるとあまり動かなくなりますので、子ねこの時から日常的に動く習慣を身につけるためにもこの方法は有効です。 ただし、ちゃんと見つけて食べているかチェックしましょう。また、フードを毎回同じ場所に置いてしまうと狩りのように「探す」ことにならなくなってしまいますので、フードを置く場所は毎回変えてあげましょう。

  • フード用おもちゃを利用してみましょう

    フードを置く場所を変えることが難しければ、遊びながらフードが食べられるおもちゃを使ってみるのも刺激となるためおすすめです。

子ねこの行動まとめ

子ねこはたくさんの行動で、飼い主さんにいろいろなことを伝えようとしています。子ねこの動きに注目して、気持ちを通わせることができたら、子ねことの絆がより深まってさらに愛おしい存在になることでしょう。